【解説】Singularity(シンギュラリティ)ってなんだ?

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最近よく聞く言葉であるSingularityですが、皆さん意味はご存じですか?

曖昧な把握のまま聞いたり、使ったりしている方も多いと思います。そこで、今日はSingularityについて”工学的な”視点から解説してみようと思います。すごく抽象的で哲学に近い部分があるので定性的に語っていきます。また、シンギュラリティに関して人々を5グループに分類していますのでそれも併せてご覧頂ければ幸いです。

この記事では、Singularityの肯定意見、否定意見共に載せていますが、私はできる限り中立の立場から書くように心がけていますので、両方の立場の方のお役に立てれば幸いです。

なお、本記事を書くにあたって種々のウェブサイトを参考にさせていただきました。全て毎回引用や出典としてマークしておくのはブログとして煩雑だと感じたため、複数箇所に参考箇所がある文献は記事の末尾に列挙させていただきました。

また、本記事を他文献等に参考文献として利用する場合には以下を明記してください。ウェブサイトではタイトルとハイパーリンクのみで結構です。

「Singularityってなんだ?」http://wp.n0101.biz/2017/05/14/whissglrty/, n01, れこえぬ。, N0101.biz Group, 2017

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そもそもSingularityとは
Singularityとは(辞書)

そもそも、辞書を引いてみれば

sin・gu・lar・i-ty /sÌŋɡjəlérəti, -lǽr-|-lǽr-/
[名][正式]
1 [U] 奇妙, 異常;非凡;[C] 奇妙[異常]なもの.
2 [U] 単一, 単独.
3 Black hole

引用:ジーニアス英和辞典

とあります。singularityは「シンギュラリティ」もしくは「シンギャラリティ」と読むのが正しそうです。この記事では”シンギュラリティ”で統一したいと思います。

さて、語意ですが、奇妙、異常、奇妙なものとあります。これでは普段使われているSingularityの意味には通じませんね。そう、正しくはSingularityはTechnological Singularityなのです。日本語に訳すと「技術的特異点」です。しかしながら、英語、日本語ともに略してシンギュラリティで用いられることが一般的です。なお、英語の場合は(The Singularity)とした方が良いかもしれません。

技術的特異点とは

さて、技術的特異点という言葉が出てきましたが、これはいったいどういった意味なのでしょうか。日本語を分割してみれば「技術/的/特異/点」ですね。まず技術的と言うところは置いておいて、特異点に注目してみましょう。特異というからには、今までと全く異なった、という意味です。そして点なのである点、時点を指しています。まとめると、特異点=今までと異なる(事が起きる)ある時点となります。

次に、技術的というところに着目してみましょう。ここは非常に解釈の分かれるところで「技術的」=Technologicalなので技術が関係していれば何でもよいという立場の人と、「人工知能」に限るという人がいます。たとえば、前者であればナノテクノロジーによって私たちの生活が大きく変わればそれもシンギュラリティとなるわけです。しかしながら、多くの人は(というと誤解を生みそうですが、より一般的には)「人工知能による技術的な」という意味合いで用いられることが多いようです。そのため、シンギュラリティといえば第一に人工知能に関して。そして相手によってはそれ以外もあり得るという認識が良いと思います。

技術的、特異点両方それぞれに見たところで、技術的特異点についてですがおおよそ大多数の方は気付かれているかもしれませんが、「人工知能による技術的な大きく私たちの生活が変わる(若しくは成長する)ある一定の時点」という意味です。日本語で正しく理解しようとすると非常に煩雑です。そのためシンギュラリティという言葉を借りてこの意味となしているわけです。

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シンギュラリティについて
シンギュラリティには賛否両論ある

シンギュラリティですが、実は賛否両論あります。必ず来るという人もいれば、来ないという人もいて、さらに中間のある特異点はないが来る。という人もいます。これはどれが正しいのかということを検証するのは非常に難しいことで、実際にシンギュラリティが訪れるまで誰も結論を出せないものと思っていただいてまず間違いがなさそうです。ただ、思想信条としてシンギュラリティが来ると信じている人もいて、その人たちはシンギュラリティが本当に来るかどうかは別として来るものと信じて研究開発や事業、普段の生活をしているわけです。大まかに5つのパターンに分けて、当サイトでは以下のように名称をつけました。

※AMPページをご覧の方は都合上罫線が表示されませんので罫線付きでご覧になりたい方はこちら(リッチページ)よりご覧ください。

名称 意味
シンギュラリティ支持者 シンギュラリティが科学的に本当に来るということを証明した(または推論される)理論を支持している(または信じている)人々
到達的シンギュラリティ支持者 シンギュラリティがある時点で起きるのではなく徐々に起きる事を信じている(または理論を支持している)人々
非AIシンギュラリティ支持者 汎用人工知能が人類の知能を超えることによっておこるシンギュラリティではなくナノテクノロジーなど別技術がシンギュラリティを起こすと信じている(または理論を支持している)人々
シンギュラリティ批判者 シンギュラリティが来ることによって起きる危険性によってシンギュラリティを起こすべきでないというと信じている(または理論を支持している)人々
シンギュラリティ否定者 シンギュラリティは来ない、存在しないと信じている(または理論を支持している)人々
シンギュラリティ支持者

シンギュラリティ支持者によれば人工知能の中でも汎用的に使える”強いAI”が今後発展し人間の知能を超え、それによって情報通信技術(IT技術)が目まぐるしく発展し(指数関数的に発展する)、人々の生活が大きく変わるという主張です。なお、この発展のことを”情報革命( Information revolution)”や”Intelligence explosion(知能革命・知能爆発)”と読んでいる人もいます。シンギュラリティ支持者の主な根拠はムーアの法則です。これまで指数関数的に発達してきた情報通信技術がこれからも同様に発展することでほぼ傾きが正に無限大に近づく状態があると主張しています。シンギュラリティ支持者のこの情報通信技術の指数関数的な発展に疑問を抱いているのが”到達的シンギュラリティ支持者”です。

到達的シンギュラリティ支持者

大筋の主張はシンギュラリティ支持者と同様ですが、その速度の主張がシンギュラリティ支持者と異なります。ムーアの法則は現状は現実と理論が矛盾していませんが、リソース(資源)を必要とする情報技術の開発や発展はリミテッドリソース(有限資源)によって今後ムーアの法則に従わなくなるという主張です。リミテッドリソースの代表例は石油、電力、人的資源、土地などです。

非AIシンギュラリティ支持者

シンギュラリティの語義に戻ってみれば人工知能に限らなくても良いというのは前述したとおりです。人工知能に限らずナノテクノロジーやバイオテクノロジーによってシンギュラリティがある時点若しくは到達的(最終的に高度に成長した状態に到達する)に起こるという主張です。

シンギュラリティ批判者

シンギュラリティが起こった場合に人間より賢いAGI(汎用人工知能、強いAI)をどう制御するのかという問題があります。最悪の場合AGIによって人間が滅ぼされてしまうということも無きにしも非ずであるので、そもそもそのようなAGIを作り出すべきでないし、シンギュラリティを起こすべきでないという主張です。さらに、AGIが発達すると失業者が増えるという主張もあります。

シンギュラリティ否定者

シンギュラリティ否定者はシンギュラリティは起こりえないと主張しています。ある意味、到達的シンギュラリティ支持者もシンギュライティ否定者に含まれるかもしれません。それはシンギュラリティは特異点があるということが重要であるので、到達的に起こるのであればそれはそもそもシンギュラリティではないともとれるからです。

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おわりに

シンギュラリティは実際に起こるのかどうかは未だ賛否両論あるということは決定された事実は少ないということです。しかしながらシンギュラリティが起こると信じている人や起こそうと努力している人もいれば、起きないと信じている人や起こさないように努力している人もいるわけで、どっちが正解(正しいか)ということは未だわかりません(少なくとも私には)。そんな状態の中でこの記事を読まれた読者の方は少なくともこれからシンギュラリティを知ろうという方がただと思いますが、様々な状態をそれぞれに判断していただいてシンギュラリティについて議論していただければなと思います。

ちなみに筆者は?

さて、冒頭では私の意見は載せないと書きましたが、最後に少しだけ。シンギュラリティは私は起こるかどうかはわからないと思っています。ムーアの法則が現状成り立っているのも確かだし、リミテッドリソースで開発がされるのも事実です。さらにバイオテクノロジーがさらに発展し台頭してくることもあり得るわけです。シンギュラリティを起こすべきかどうかについても今判断することについては懐疑的です。なぜならば使いようによっては人を殺すことにも生かすことにもなるからです。しかしながら情報通信技術者の一端としてシンギュラリティに到達できるような(実際に起こすかどうかは別として)基盤を確立し情報通信技術をこれからも発展させていくことが必要であると感じている事は唯一自信を持っていえることです。AGIを正しく制御出来るような技術が確立され、万全の状態でシンギュラリティが起こる事が唯一の正解だと思います。人類は常に進歩し続けるべきです。

参考文献

最後になりましたが、以下のページを参考にさせていただきました。謝意を表し列挙させていただきます。

Intelligence Explosion [Wikipedia] https://en.wikipedia.org/wiki/Intelligence_explosion

技術的特異点 [Wikipedia] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%9A%84%E7%89%B9%E7%95%B0%E7%82%B9

ソフトバンクアカデミア特別講義 「Singularity~情報革命が導く世界~」 [孫 正義 グループ代表挨拶 2015年] http://www.softbank.jp/corp/about/message/2015/20151112_01/

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